題名は分からない。読み終わったあとに置いたのか、置いてある本は裏表紙を上にしていた。
ただ柔らかい色調の絵が書かれている。
裏表紙の右から左まで、二等身程度のぬいぐるみみたいな人たちが手を繋いでいた。
みんな笑顔だった。点と線だけの簡単な顔だけど、ほがらかで微笑ましい絵だった。
どうやら絵本らしい。
裏表紙がこんな絵ならば、きっとハッピーエンドで終わった作品なのだろう。
「クロス……?」
呼ばれてびびった金髪。
見れば、彼女が起きてこちらを見ていた。
「あ、あの、すみませんっ、眠っていたのに」
「構いませんよ、ちょうど、“帰ってきた”ところですから」
「帰って……?」
また姫は分からないことをと思って――あることに気づいた。


