* * *
途端、ケルベロスが大きく前足をあげた。
両前足、後ろ足だけで立つような状態だが――四本足の獣が、直立歩行などできずに。
「ロードっ!」
彼の周り一帯に黒い影が覆い被さる。
叫んだクロス。危ないっとそう意味をした叫びに、間に合わないという思いは。
――クロスを、落ちてくる前足の影の中に突っ込ませた。
ロードに向かっての突進。自分の身も守るために、クロスは一緒に影から脱出した。
入れ違いで前足が地面をえぐる。
爆弾でも投下されたような地響きと破壊力。
ぺちゃんこではなく、もう既に埋葬された圧死体が出来たことだろう。
前足を下ろした後にすかさずケルベロスはこちらに牙を向けるが――鎖のせいで、ガウッ、ガウッと何度も口をパクパクさせるだけだった。


