慣れない手つきでラグナロクが、空になった姫のカップに紅茶を淹れた。
「お友達ですよ、かろうじてね。私はお友達になって下さいと言う人――いえ、言わずとも、私を好いてくれる人がいれば私もその方を好きになり、救いたい助けたいと無償で愛したくなる」
ラグナロクから姫はポットを受け取り、上品な仕草で少なくなった彼女のカップに紅茶を注いだ。
「そなたは優しいからなぁ。二世紀生きてきたが、そなたほどの優しい奴を余は知らなんだ」
「あなたとて、産まれた時から災厄だの言っても、一度も世界の敵になったことはない。
楽しめるからとたったそれだけの私情で、世界を壊さず、世界に立つ“役者たち”も殺さずにいる。見ようによってはいい人ですよ」
両者、淹れたての紅茶を口にした。
一口飲み、ラグナロクはカップを持ったまま机に置かず。
一気に飲み、姫はカップを机に置いた。


