「この物語。実はあなたが手をくわえたのは、“この場面”だけじゃないんですか」
右端の指が左端にいく。始まりから終わり。姫の指は、その終わりの点に置いてあった。
「ここまで来る間、言わずもがな、私はアリスの世界を歩みました。原作の不思議の国とまでは、役柄たちの性格が違うのでイベントなどはまったく違っていましたが。それでも、あの物語には“そっていた”。
ところが、ことここにきて、ケルベロスの登場。おかしいですねぇ、とても。正規のルートにとってつけたような終盤。物語の暴走にも見えるのに、いやはやどうして、“物語は続いている”のでしょうか」
線を切るかのように姫の指が斜めに動く。
「白ウサギが女王に反逆行為をするだけでも、物語が強制終了し、また一から――ああ、いや、また同じてつを踏まぬように役者替えがあるから、零からか。
ともかくも、そんな延々と繰り返される、永遠なる世界で、あんなラストが受け付けられるとは到底思えない。
ならば、アレはあなたのオリジナルなのではないのですか」


