* * *
「はあ……」
ため息をついたのは姫だった。
安堵のため息。新たに加わった仲間に、もうと軽く怒っていた。
「最初から出てきて下さいよ」
クロス一人に、アレはいくらなんでも無理がありすぎる。
いつかは出てくると思ったが、あんなすれすれで登場を決めるとは。
「やはりサプライズはいいのぅ。役者が増え、展開が読めなくなったぞ」
機嫌良く話す魔女に姫は向き直った。
「ビルディ、立ったままでは疲れるだけぞ。座れ、上質な紅茶でも飲み、楽しく観戦しようではないか」
空のカップに、紅茶が注がれた。自動だ。誰も持っていないポットが勝手に全てをこなしている。
注がれた半赤茶色の液体。匂いだけで落ち着くようなそれに、誘われるようにして姫は近づいた。


