「どこだ、ここ」
考えても彼には分からなかった。
知らない場所、では済まされない場所。
森の中なのか辺りは木が生い茂り、薄暗い。
自分が仕える姫の国は、自然豊かな土地で森にいたぐらいでは別段驚きもしないのだが。
「木が……」
とぐろを巻いていた。
思わず触り確かめるが、感触はざらざらで木そのもの。
とぐろを巻いた太い木からは、ピンクや紫といったおどろおどろしい色の葉が生えている。
ついで言えば、地面も茶色ではない。
地面のはずだが、何故か赤茶色の絨毯が敷いてある。
見たところ、ここいらの地面一帯には絨毯が敷き詰めてあるのだろう。