早かった、迅速だった、間に合わなかった。
ケルベロスの動き、犬が飛びつくのと同じぐらい早く、大きな攻撃が。
終わった。剣を掲げる暇もなく。補食される気分を。
『――――』
味わえなかった。
キャウン、という高い弱い悲鳴をあげて犬が下がる。
どしどしと地面を壊しながら、後退し、ぶるぶると頭を振っていた。
「なに、が……」
クロスは何もしていない。
訳も分からずと、暴れる――いや、何かに悶えているケルベロスを見ていた。
執拗に頭を振るから自然とそこに目がいったが、ケルベロスが何に悶えているのかが分かった。
赤い羽根がついた何か。額に突き刺さるところを見ると、突起物なのだろう。槍にしては小さく短い、トゲにしては太い。赤い羽根という装飾品は、当たったかどうか確認しやすくするためなのだろう。


