狙っているのは右足だと気づくケルベロスは、ただ足をあげるだけでいい。
それだけでクロスの剣は届かなく――上げた足をただ下ろすだけで。
「な、チッ……!」
地面をへこますほどの圧力攻撃が出来た。
とっさに後退したクロスはことなきを得たが、べきべきと未だに地を“圧し続ける足”には寒気を覚えた。
地鳴りと地震。
ケルベロスにとっては、足踏みをしただけなのに、クロスにとっては――致命的なことが起こった。
地震により、体のバランスが崩れた。おっと、というぐらいの大差ない崩れでも、怪物前にしての隙は死期を縮めるもの。
「クロス!」
叫ぶ彼女――遠目でもやはり死んでしまうと感じる“距離”だったのだろう。
すぐそこに、逃げるの間に合わなかったクロスの前に――ぱっくりと開いた口があったのだから。


