――いける。
肉を切った感覚で、クロスは好機を見いだした。
切れる、血が出る。ならば倒せる。
怪物だと思ったが、図体がデカい獣ととってもいい。
相手に出来ないほどの敵ではないと、クロスは前に出た。
怯んだ獣への追い討ち。普通ならば急所を切りたいが――届きなどしない。
四本足が柱だとしたら、浮かぶ胴はクロスが背伸びしても届かないものだ。
狙うは、柱。
太い柱(足)だが、一本でも崩せば本体(胴)は地に落ちてくる。
右前足。踏み込み、刺した。
ぞぶり、と埋まっていく剣先。半分ぐらい埋まり、返り血が服に飛びついたところで。
『――』
「っ、わ!」
刺していた右足が動いた。ただ痛みに耐えかねて暴れただけにすぎないが、アリにとってゾウの暴走は災害に近い。
刺していた剣ごと、ケルベロスの動き一動で吹っ飛ばされる。


