「いいぞ。お前の好きなようにしろ、くそ犬」
剣をケルベロスに向ける。真っ直ぐに、邪魔だとも言いたげに向けられた切っ先に門番は。
『汝、この門に如何様(いかよう)か』
「通りたいだけだ」
『ならば、我の屍を作り上げろ。我は貴様の進行を、生きている限り阻止をするのだからな。――感謝をする、騎士』
形式だけのことが終わり、私情を入れたケルベロス。
私情を入れたケルベロスが柔らかくなった気がしたが、すぐに真面目な――いや、獲物を狙う補食獣のそれとなり。
「っ……!」
クロスに襲いかかった。
大顎が向かってくる。丸呑みする気だったか――それをさせまいと、彼は大きく剣を振った。
口、人間ならば唇にあたる部分がぱっくりと切れる。痛覚はよく働いているようで、ケルベロスが自分から下がった。怯んだのだ。


