『我はこやつを食えば良いのか、魔女よ』
ぎょろり、とケルベロスは魔女(主)を見た。
息を呑む、クロスと姫。
言葉を話すことへの驚愕。そうして絶望。言葉を話すとは、それだけの知能があるということ。
頭が良い、人間並みに。頭が良い、人間以上に殺すのが長けた獣。
ごくり、と唾を飲んでも、クロスはその場から逃げなかった。
「ああ、ケルベロス。なるべくならば、殺さぬように頼むぞ」
『我には無理な難題だ。我が相手を傷つける凶器は、牙と爪。人間の体より大きすぎるこれらは、たやすくこやつを分解、掘削する』
「だから、なるべくと言っておる。殺すことへの可能性を、1%でも下げたいのだよ、そのウサギにな」


