「…………」
姫が黙る。
うんと頷かないのはやはりクロスを“戦わせること”に納得いかないのだろう。
何が相手になるかは知らないが、戦うことは怪我すること。
ならばと、姫が断ろうとして。
「姫、俺たちの屋敷に帰りましょう」
姫に二の句を繋げさせなかったのは、クロスだった。
声をかけられ、姫がクロスを見る。
そこにいたのは、任せてと言わんばかりの頼もしい人。
「俺なら平気です。騎士たるもの、戦いに長けた剣士でなければならない。腕には覚えがありますし、姫のためなら俺は必ず勝ちます」
その姿に相応しい言葉の数。
何が相手かも分からない、自分の意思とは別にさせられる戦いでも。
「信じて下さい、姫」


