「姫……」
アレがそうなのか、と真っ先に彼がアレを“推測”したのにもわけがあった。
異質。
人外。
この世のモノとは思えない。
外見から、雰囲気まで、どれもが人間離れした存在だったのだアレは。
後ろで丸くまとめた銀髪に、顔の作りがどこぞの女神を思い出させる。右目は赤い眼帯をしているが、裸眼の左目は深い蒼色だった。
着ているのは、肩紐がないビスチェドレスか、眼帯と同じ色した深紅のドレス。裾部分に黒色混ざったチェック柄があるとこを見ると、“トランプの女王”を意識しているのか。
つり上がった眼差し。意地悪げで偉そうだったが――彼女は本当に、“人間より数倍偉い”のだろう。
人間の形をしている何か。ここに来る途中であったジョーカーよりも、たちが悪い気がした。


