この先にもトラップがあるのかと先を見たクロスだったが、変わりない普通の道だ。
トラップならばあからさまに侵入者(自分たち)に見える位置にはないのは当たり前。
「姫、俺が少し先を歩きます。あなたは俺が歩いた後をたどって来て下さい」
「おおっ、冒険パーティースタイルですね。主人公が前を歩き、仲間は数珠繋ぎのようについていく。さすがはクロスだ。トラップ道を行く心得を分かっていらっしゃる」
「ほんと、何の話をしているんですか……」
ともかくと、クロスは歩く。慎重に――と進んだのは十歩程度。
面倒になり、来るならこいっ性格たる彼はずかずかと進んだ。
姫があとからついてくるのを確認しながら。
「姫っ、寄り道せんで下さいっ」


