――俺は、自分を犠牲にしてまでも、大切なモノを持っている。 自分の死には鈍感という、自分に価値を見いだせない一人の女性。 周りに優しく、誰かが死にそうならば救って、誰かが犠牲になるならば阻止しようとする一人の姫君。 その彼女に付き添いたいと思ったのが、クロスだった。 『これからもそばにいて下さいね。ずっと』 言われるまでもない。 己が命ある限り、守り続ける価値ある人間は、クロスにとって彼女しかいないのだから。