「あなたはそう見てくれているとしても。私は私の価値をゼロと見ている。ならば、私の主導権を握っている己(私)が、私(コレ)をどう扱おう誰にも文句は言えないはずだ」
「あるに決まっている!あなたがそんな考えなら俺は……」
彼女に怒鳴る中、とっさに掴んだ細い腕で冷めるクロスの思考。
強く握りすぎたと手を引っ込めて、冷めた頭で彼女を見れば。
「姫……、すみません、俺……」
そう言いたくなる悲しむ表情を、クロスは見てしまった。
「いえ……、お気になさらず。あなたの考えも間違っていませんし、私が言っていることだってただの押し付けでしたから」
とつとつと語る彼女。顔をふせて、彼女自身も言い過ぎてしまったと申し訳なさそうだった。


