間違ったことをしていた、だとしても、クロスは間違えと思わない。
誉められないことかもしれない、彼女を悲しませるかもしれない、死んでいたかもしれない。
それでも。
「俺は間違ってなんかいない。あなたを守ろうとすることに間違いがあるなんて、俺は認めません!」
大切な人を守ることに、何の間違いがあっただろうか。
周りが馬鹿だとけなしても、クロスは“己で思った答えに従う”。
「あなたからしてみれば、俺を叱咤したいかもしれませんが……叱咤したいならば、思う存分すればいい!けど、俺は間違っていたとは思わないっ。
姫には悪いですが、俺はあなたが守れるならそれで――いっ」
耳を掴まれた。
またぐいぐいとやられる。


