声のトーンが落ちる。悲しげな声、聞いただけでクロスは涙しそうになった。
自分が間違っていた。
姫を悲しませないと約束したし、何よりも姫が見ているとき己が手で傷つけようとしたんだ。
自覚が足りないわけじゃなかった。十分に姫の想いを受け止め、大きな信頼を受け止めたからこそクロスは彼女を守りたいとそれだけ想い続け――
「間違ったことをしても、俺は……!」
途端、クロスは姫の肩に手を置いた。そっぽを向く彼女を力任せに自分の方に向け、動かないように彼女の両肩をがっしりと掴む。
予想外だったか、姫の目が見開いている。その目は、強い眼差しを持った男の姿を映す。
「間違ったことをしても、俺は、“間違っているなんて思わない”!」
クロスが言いたかったことはそれだった。


