「ありがとう、アリスさん。すぐに向かうよ。俺しか彼女の体を癒せない。弱る彼女の体を俺の体で慰めてくる」
「……、お気をつけて。さっさと行ってください」
少し引いたような姫だったが、彼女を助けなきゃという男は気づかずに――クロスにも構っている余裕はないとその場から走って去ってしまった。
呆気にとられたクロス。あれだけ殺すなどいって、緊張的な場面を作った張本人があんなことで行ってしまったのだ。姫の嘘とは気づかずに。
疑う気持ちも、彼女が危険というワードに呑まれたか、確かめることもせずに去ってしまう。
それだけ大切な彼女なんだろう。
――そうして。
「姫っ、大丈夫ですか!」
クロスも己が大切な彼女に近づいた。


