心臓が口から出てきそうなほど焦っていて、姫の命がいつ危険にさらされるかとそればかりを考え恐怖している姿。
果敢な騎士としての頼もしさは、大切なモノに銃がつきつけられただけでいともたやすく崩れていた。
情けなくとも、それだけ姫を心配し、助けたいという精神はよく伝わる。
「クロス、剣をおさめなさい」
「それじゃあ、アリスさんが死んじゃうよ」
「クロス、変な気を起こさないように」
「耳を切らなきゃ、君は一番見たくないものを見てしまうよ」
やめろという姫と、やれという声。――いや、男の方はやれと強要しているわけでなく、そうしないとそうなると事実を話しているだけだ。
やれと言われるよりもたちが悪い。己から“やりたい”と思わせる言葉の数。


