黙ったのは、男がカチャリと引き金を引こうとしたから。
歯を食いしばり、きつく口を閉じれば男は満足げに頷いた。
「黙っていればいい、次、口を開いたらおしまいだと思っておきなよ」
深黒の銃。持つ姿に違和感がなく、男がそれを“使いすぎている”のはよく分かった。
銃のグリップの底からは、まるでキーホルダーのように銀でできたストラップがついていて――そのストラップの絵柄は、男と同じ笑みをした道化師が彫られていた。
「……、クロスがダメならば、私はよろしいでしょうか。殺される側として、少しぐらい“理解をくれたって”いいと思うのですが」
「普通ならそう口を聞く前に、“この状況で勝手に黙るはず”なんだけどね。アリスさんはやはり変わっているな」


