変わらない。
春風の笑顔で、午後の優雅なティーブレイクを過ごし、紅茶の匂いと味に和むような優しい微笑みを――
「殺すよ、確実に。このアリスさんは必ず殺せる。だから怒鳴るのやめようか。君の声は耳障りだ」
女の額に銃を向けながら、男はそんな笑顔をしていた。
息を呑むクロス。
男の異質さに恐怖を覚える。
人間に、見えなかった。
こんな状況であんな笑顔。
人間を超えたモノ。殺人鬼の鏡――いや、殺人鬼も所詮“人間につけられる名称”だ。
れっきとした人外。
人間の形をした殺戮者。
「耳障りで、目障りだ、君は。そんな君の前で、このアリスさんを殺せば――クッ、俺が望む展開になるのだろうね」
笑う悪魔が、そこにいる。
歪んだ笑いじゃないのが、本当に不可思議だ。どうして笑える?どうして普通でいられる?どうしてそんなことができる?
「彼女が何したってんだ!ただ道を聞いただけで……っ」


