確かに、迷わないのは助かる。迷路がもとのままだったならば、自分たちはこんなに進めていない。城との距離を見れば、中盤あたりまで進めたよう。
「って、こっから先は抜いてないのか」
周りを見通せるような開けた場所から、一気に息苦しい狭い道になった。
「工事中、というやつですね。まあ、来る時間はだいぶ半減できましたし、あとは地道に進みますか」
「面倒くさいですね。抜くなら、最初から迷路なんか作んなきゃいいのに」
「まったくその通りで。きっと城の防犯として機能してたんでしょうが、迷う人が続出したと私は見ます。だから今になって、取り壊しと……」
姫が沈黙する。クロスとて沈黙をし、とっさに彼女の前にでた。
――声が聞こえたのだ。