オカンはその身をコタツから引っ張り出すように立ち上がり、隣の台所に向かう。

パチッ、パチッとコンロの音が聞こえ、テーブルの上に並ぶおかず。

私は、しばらくの間テレビそしてケータイを片手に待つ。

「はい。できたよ。」

「ありがとう。いただきます。」

オカンはコーヒーを入れて再びコタツに入ってきた。

「…ねぇ。今日、兄ちゃんの彼女来てるの?」

「来てないよ。」

「ふ~ん。…じゃあ、あの玄関の赤い靴は誰のもの?」

「…あ~。あれね。
…もらったの。」

「誰に?」

コーヒーを一口飲んで、

「お父さんに。」

「あのオトンが?
オカンに…?…なんでよ?」

「今日、私の誕生日だからじゃない。」

えっ?そうだっけ…。
…忘れてた。