「ただいま。」

仕事を終えて帰宅したのが、夜の九時前。

今日は仕事が早めに片付いたため、この時間の帰宅となった。

普段なら玄関は閉まり、明かりの落ちた家なんだけど…。

すんなりと入った私の目に映ったのは玄関に見慣れない靴。
赤い小さな靴は、大きさから分かるように女性の靴であるコトは分かった。

だから、私は一番上の兄貴が、また彼女を連れてきているんだと思った。

そして、部屋に入れば、コタツに足を突っ込んで、横になって寝ているオカンが私のすぐ足元にいる。

なんとも間抜けな寝顔。
私は取りあえずケータイを取り出して、その寝顔をカメラに収める。

「…よしっ!」

それから、オカンに声をかけたわけ。

「オカン!」

「……。ん…?あんたか……。」

むくりっと体を起こしたオカン。

「ただいま。」

「おかえり。」

「ゴハン。」

「分かった。ちょっと待ってて。」