「…うぅ……」
「イース…!」
声の元へと目を向けると、少女の姿が目に入った…
名を呼ばれた少女は、首を閉められ顔を歪める…
「彼女はまだ実験段階のアンドロイド。試作品で、感情も意志もない。手加減なんか、もってのほか」
か細い腕からは想像出来ない力で首を閉めるアンドロイド…
彼女は苦しみに顔を歪め、首を掴む腕に爪を立てる少女を不思議そうに見つめていた…
彼女を救いたい…
でも、助けに行ったとして、何ができる…
何の力のない自分には、何もできやしない…
自分の無力さに拳を握り、前方へと視線を戻す…
すると、すぐそこに男性の姿が…
そして彼は少年を捕らえる為手を伸ばした…
抵抗もできない…
逃げ場もない…
このまま捕まるしかないのか…
そう思いながら力強く目を瞑る…
少年に手が届きそうになった時、男性は何かを感じ取ったのか突然後ろへ跳んだ…
不思議に思い目を開けると、茶髪の男性の後ろ姿が目に入った…
彼は剣を手に少年の前に立つと眼鏡の男性を睨んでいた…
眼鏡の男性の頬には傷があり、そこからツッと血が流れる…
「頭脳派だから、戦闘は得意じゃないんだけど…」
血を指で拭いジッと見つめながら呟く…
それを白衣に擦り付け赤い模様を描いた…
「にしては、よく交わせたな」
「それはどうも」
そんなやり取りをしていると、男性の背後から何者かが猛スピードで迫って来ていた…
気付いていないのか、彼は振り向かない…
上体を屈め低い姿勢で近づく灰色の髪の男性…
素早く拳を引き、目一杯の力を込めて拳を振るった…
「なっ……!」
人間離れした力を使った攻撃…
だがその攻撃は痩せた少女にによって受け止められていた…
それも、片手だけで…
もう片方で手首を掴むとレオンを一本背おい…
軽々とレオンを持ち上げた…
宙に浮き目を見開きながらもすぐさま反応し片手を地につけ器用に着地した…

