コウガ達を眺めるライアは壊れたように笑い出す。
「…何て愚かなんだ……何て馬鹿馬鹿しい……人間なんて…人間なんて皆死んでしまえばいいんだ……何もかも全て、全て消えてしまえ……!」
「うっせぇぞ糞がっ!」
彼の言動と笑い声に耐えかねたレオンは地を蹴り飛び出した。
一瞬で彼の傍へと移動し瞬時に突き出す握られた拳。
「人にも狼にもなれない出来損ないの君が、僕に適うと思うなよ!?」
「かはっ!?」
しかしそれを簡単に払いのけるライア。
素早くレオンの空いた胴へと拳を突き立て、更に回し蹴りを見舞いする。
攻撃はそれだけでは終わらず、頭部に受けた蹴りでふらつくレオンの髪を掴むとその顔面に膝蹴りを繰り出した。
「ぐっ……!」
防ぎようもなく真正面から攻撃を受けるレオン。
突き飛ばされた彼は勢い良く壁に身をぶつけ座り込む。
フッと笑うライアは腰に仕舞っておいたサバイバルナイフを手に取ると、それを背に回し振るわれた刃を防ぐ。
「良いのかい?君の大切なお嬢様を護らなくて」
「っ!?」
ライアの背後を取ったジークだが、振り下ろした刀は弾かれてしまう。
すぐさま次の攻撃へと移行するが、意味ありげな彼の言葉と悪戯な笑みにハッとしたジークは顔色を変え振り返る。
見開かれたその瞳に映るのは、短剣を手に構えるシェイラの姿。
その後ろには彼女に矛先を向ける弓矢が宙に浮く。
「ジーク!」
彼女を護ろうと駆け出す彼の名を叫ぶシェイラ。
その叫びの意味さえ理解出来ぬ状態の彼は彼女の名を呼ぼうと口を開くが、その唇からはその名を呼ぶ言葉は出る事はない。
「っ……」
背に走る鋭い痛み。
振り向けば、嫌味に笑うライアの姿。
そして深々と腰に突き刺さるサバイバルナイフ。
「安易に敵に背を向けちゃいけないよ」
傷口をえぐりながらナイフを引き抜くと、シェイラを見つめ血塗れた刃を振り上げる。
「君のせいだよ。無力な君のせいで彼は死ぬんだ!」
楽しそうに言いながらナイフを振り下ろすが、それを防ぐように鳴り響く銃声。
ジークを仕留めかねたライアは舌打ちしながらその場から身を引いた。

