辺りには赤い液体が飛び散り、この地を赤く染める…
その光景を目にし、クレアは高笑い…
そうなる筈だった…
だが、実際は違っていた…
クレアの鎌は地に突き刺さり、飛び散ったのは黄土色の土のみ…
その地は赤く染まらない…
「あっぶねー…」
声のした方向に顔を向けると、そこには灰色の髪をした男性の姿が…
彼の傍にはコウガの姿もある…
「レオン…助かった、ありがと…」
「助かったじゃねぇよ…何気緩めてんだよ、こんな時に…お前、死ぬ所だったぞ…」
危険だったコウガを助けたのはレオンであった…
彼は人並み外れたスピードを生かし、コウガを救ったのだ…
獲物を仕留めたと思っていたが逃がしてしまい、クレアは2人を睨むと地に刺さった鎌を抜く…
それを見た2人は状態を整えると、すぐさま戦闘態勢を取る…
だが、彼女は2人に背を向けた…
そして地を蹴ると、ベンチの方向へと走り出す…
唸り声を上げながら、素早く鎌を持ち上げる…
そして男性目掛けて振り下ろした…
ベンチは粉々に粉砕…
破片が飛び散るが、目標である男性の姿はない…
男性は無事である…
「残念……」
背後から聞こえた声…
振り返ろうとしたが、それは叶わない…
彼はクレアの背後に周り、彼女の髪を掴むと壁に突き飛ばす…
壁に身をぶつけ地に倒れた彼女の腹を、思いきり踏みつけた…
「…ぅっ……」
全体重をかけられ、苦しそうに唸ると真っ赤な血を吐く…
虚ろな瞳で彼を見上げ、鋭く睨み付けた…
「……フリー…ド……」
苦痛に顔を歪め掠れた声で呟くと、腹部の足を弱々しく掴む…
見下ろす彼は、無表情で足を掴むその腕を振り払った…
「まだ正気でいられるとはね……」
信じられないと肩を窄めると、スッと右手を伸ばす…
その手には、鋭く光る短剣が握られていた…
クルリと回しその刃を地に向けると、クレアの喉元へと振り下ろした…

