Blood†Tear


彼の身に纏うローブを目にし、コウガは素早く剣を抜いた…

低く構え、剣先を彼に向ける…


だが、男性は何の危機感も持たず数歩歩くとベンチに腰掛けた…

そんな彼を鋭く睨んでいたが…




 「よそ見してたら、死んじゃうよ?」


足を組みそう言うと、コウガの後ろを指差す…


眉を潜め指差す方へと目を向けると、鎌を片手に立ち上がるクレアの姿…


銀髪の隙間から覗く赤い瞳と目が合う…

その瞳は血よりも赤い色をして、殺意に満ち溢れている…

口角を上げ、不気味に笑うと鎌を両手で握ると地を蹴った…



高々と鎌を振り上げ、距離を縮めるとコウガに襲いかかる…



振り下ろされた鎌を、とっさに剣で受け止めた…

重い鎌を押し退け後ろに跳び、クレアと距離を取る…


だが、彼女はすぐさま鎌を構え直し、再び攻撃を仕掛けた…


高く飛躍し彼を斬り裂こうと振り下ろす…
交わされ地に刺さった鎌を抜き、鋭い瞳を向ける…




力任せに振るう鎌を何度も交わし、どうしたものかと思考を巡らせていると…





 「止める方法、教えてあげようか?」


ベンチに腰掛け優雅に眺める男性が口を開いた…

その言葉に一瞬目を向けるが、直ぐに前方の敵へと向ける…



 「狂った彼女を止めるには、殺すしかない。もし殺さなかったら、君が殺されちゃうよ」

確かにこのままでは命の保証はできない…
だが、殺す事など…


 「何躊躇ってるの?簡単な事じゃないか。胸を一突き、ただそれだけ」

簡単にそう言うと、短剣をベンチに突き刺した…


淡々と述べる彼を見て、剣を握る手に力が入る…


男性を睨み付けていると、クレアが襲いかかってきた…

カタカタと鋼が音を立てる…





 「…お願い……殺して……!」


 「!?」


訴えかけるように呟いたクレア…
その言葉を口にした瞬間、彼女は微かに悲しそうな顔をしたように見え、一瞬気を緩めてしまった…


その隙をつきコウガを突き飛ばすと、バランスを崩し倒れた彼に素早く斬りかかる…



不気味に口元を上げ、目一杯の力で鎌を振り下ろした…