Blood†Tear


銀髪の女性、クレアの後を追っていたコウガとレオンの2人。

だが、彼等はその姿を見失っていた。



 「い、嫌ーー!」


そんな2人の耳に届いた、女性の悲鳴…

背後から聞こえた悲鳴に振り返ると、高い奇声に耳を覆うレオンと目を合わせ、声のした方へと走り出した。






人気の少ないビルの裏。

そこには、腕をもぎ取られ見開いた瞳を天に向ける人物と、綺麗に真っ二つに斬り裂かれた人物の、2つの遺体が転がっていた…


そして、真っ赤に染まった地に仰向けにに倒れる黒髪の女性。
その上には、銀髪の女性クレアの姿。


彼女は黒髪の女性に馬乗りになり、細い腕で首を絞める…


苦しそうに唸り、自分の首を絞める手に爪を立てるが、その力は微かな物だった…
酸素を吸えず、意識は朦朧としているのだろう、女性の瞳は揺れている…





 「止めろ!」


その光景を目にしたコウガは、クレアを女性から離す為突っ込んだ…


すると、コウガ達の存在に気づいていなかったのか、彼に体当たりされ突き飛ばされる…



解放された女性は苦しそうに咳をし、肩を揺らしながら大きく息をする…



 「レオン、彼女を頼む」


 「あぁ」


レオンは顔面蒼白の女性を抱えると、力強く地を蹴り姿を消した…




彼のの姿が見えなくなると、コウガは前方へと視線を戻す…



彼の目に映ったのは、血の海に座り込むクレアの姿…


コウガに突進され、バランスを崩した彼女は、その血の海の中に尻餅をついていたのだ…






 「ハハッ……ハハハハッ………ハハハハハハハッ………」


俯いたままの彼女は、突然肩を揺らしながら笑いだす…
血をすくい上げ、それを眺め不気味に高笑い…





 「狂っちゃったんだよ」


呆然と可笑しな彼女を見ていると、突然傍から聞こえた男性の声…



 「否、これが彼女の本来の姿か……死に快楽を覚え、血に飢えた哀れな出来損ない」


声のした方に顔を向けると、そこにいたのは1人の男性…


銀髪に赤のメッシュ、血のように赤い瞳…
そして、見覚えのある黒いローブ…