言葉を言い終えると、俺は、ほらねっと笑った。答えはもう知っていたはずなのに、期待などしていなかったはずなのに。
彼女の顔はもう見ようとしても見れない位置にあった。
靴ひもの、だらしない姿だけが残像に残り、これでよかったんだと言い聞かせた。
確かにきみは夢を与えてくれていた。
何も知らなかった俺に、愛情の全てを教えてくれた。
こんなにも暖かい自分を取り戻したのも、きみのおかげかもしれない。
例え、『きみ』の名前を忘れようとも、教えてくれたものは忘れない。
俺に次があるとしても、ないとしても、満たされない、確かな暖かみはこれからも求めていくだろう。
俺は懐かしむように最後の姿を眺める。地平線に、きみの頭がすっぽりと吸い込まれていく。


