泥棒は嘘吐きのはじまり




何も出てこない。
嘘もつけない。初めて頭が真っ白になる。人格を失い、やがてボロボロになる。


大嫌いだった『中味』という要素が死んでいく。



「さいあく!!」



愛海はそう言って、アルバムを俺に投げつける。痛い。いや、そんなものよりも痛いものがある。


愛海は即座に俺と距離をとりつつすれ違うと、靴を履き始める。


触れたくないといった雰囲気で、愛海は俺を存在として無視をする。