愛海は後ろ向きのまま、振り返ろうとはしない。 頭だけをこちらに向けて、静止している。 「なぁ、どうした?」 「恭平・・・」 愛海が今日はじめてはっきりと喋った。 よく見れば顔が引きつっている。 愛海はゆっくりと体をこちらへと向ける。その両手には見覚えのある巨大な本があった。 金色に表紙を彩られ、『飛翔』の文字。 馬鹿みたいに分厚い本。 ―――――卒業アルバム?