泥棒は嘘吐きのはじまり




「おまたせ」



ティーカップを両手に持って、溢れそうにぴちゃぴちゃと波をたてる。嵐のよう。


彼女の背中が見えた、位置が変わっている。
小さな棚の前で、体を小刻みに震わせている。


まだ俺の声に気づいていないようだ。そして愛海の様子がおかしい。


「・・・愛海?」


透明の机にティーカップを静ませたあと、愛海が はっ と声をあげた。

悲鳴のような、びっくりとしたような
本能的な声。