「何で来なかったんだ?」
生まれて初めて冷たい表情をしてみた。
どこよりも暖かい自分の部屋で、安心できる場所で。ここなら愛海以外は誰もいない。
「その・・・・・・あの・・・」
愛海は言う。途切れ途切れの嗚咽のような溜め息まじりの声。決して俺の周りにいるべき人間が出す声ではない。
愛海が何か言い掛けようとする。俺は怖くて思わず睨む。お互いの体が違う意味で震えている。
愛海は声を失い、口を閉じた。
真実は見えた気がする。
こんな暖かい部屋から、はやく逃げたしたくなった。
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