陽菜子のいる檀上を見上げるようにオレは立ち
真っすぐに彼女を見つめた。
陽菜子も陽菜子で
同じように
いや、オレよりも強い目でオレを見つめていた。
今までなかったな。
こんなふうにおまえが見つめてくれることはなかったよ。
オレはいつもそうやって見つめて欲しくて
いろんなイジワルをしてみせたんだ。
でもおまえはいつも受身で
おまえはいつもオレの腕をすり抜け
おまえはいつも逃げてばかりで
オレはそのたびにジリジリ胸を焼いてたんだ。
わかる?
オレ、かなり欲求不満になってたんだ。
おまえに好きになってもらいたくて。
おまえになりふり構わず飛びこんでもらいたくて。
カッコ悪いくらい必死だったんだ。
そんなそぶりを見せるのが悔しくて
いつもカッコいい葵君を演じて
でもおまえはなかなかオレの本当の姿には気がつかなくて
ずっとずっと――胸を焦がしてたんだよ。
会場内のざわめきはなくなっていた。
静まりかえったその空間に
周りの息を飲み込む音が聞こえた気がした。



