「不憫だわ、松永」
彼女のツッコミは少々毒が多すぎる。
よくもまぁ、あの陽菜子とこの子が親友関係なんか築けたもんだと感心するよ。
そのとき、キャーという黄色い声と
ワ―というざわめきが起きた。
踊る二人なのだけれど
陽菜子が転びそうになり
それを坊主が支えるように抱き締める。
あまりの甘々な場面に苛立ちが湧くとともに
『忍耐』の二文字が脳裏をよぎる。
「見つめ合っちゃってるわよ」
お願いだ。
オレの必死に抑え込んでいるこの気持ちを揺るがすようなツッコミはやめてくれ!!
「こっち見てるよー、にーちゃん」
そうだねぇ。
ほんとだねぇ。
真っすぐに二人揃ってこっちを見ちゃってさ。
「いやいや、カワイイじゃない?」
オレは余裕の笑みを舞台の二人に向けてやる。
いや、内心余裕とかないんですけどね。
いますぐ舞台に上がってかっさらっちゃいたい衝動抑えるのに必死なんですけどね。
つーか、クソ坊主。
早く離れやがれ!!



