やれやれ。



本当にはた迷惑なやつらなんだから。








「百合子、今日はずいぶん中谷さんに優しかったね」




当たり前でしょ。



あいつらがケンカしてたら私は誰をからかって遊べばいいのよ。








「そんなこと言わずにもうちょっと背中押してあげても良かったんじゃないかな?」



「いーのよ。あれくらいで。てか、なんであんた彗蓮の味方してんのよ?」



「だって中谷さんと仲良くなってから、百合子、ずいぶん笑うようになったもん。だから中谷さんには感謝してるんだ。あ、もちろん会長にも」






あっそ。



そんなハズいセリフよく言えるわね。









でも…。




笑うようになった、か…。




確かにあいつらといると退屈しないからね。




だけど…。








「…私を一番最初に笑わせたの、あんたじゃない」



「ん?何か言った?」



「べっつにー」





なんて、呟きながら、握った手をそっと握り返してみた、夏の午後。