とっておきの唄




卒業のハーモニーが私たちの背中をおして、それに応えるかのように涙がこぼれる



一滴、また一滴と渇いた床に染みて、また色んな気持ちの雫が重なる。



去年の人々の涙はもう全然見えなくて、清々しさが残されている



来年には、この涙も渇くだろうか



やがてピアノの伴奏が消えると、泣き声だけが体育館に響いた。



舞台からも、それ以外からも聞こえる声は、互いに互いを増長させて私たちへと贈られる。