「お仕事開始ページ」
と名付けられたところにパスワードを入れると、
いきなり画面にコスプレをした私が写り
何の用意もしていなかった私は少しびくっとした。

慌てて写りの良い体勢をつくる。

私が写されているウィンドウの周りには
客の文字が更新されていく普通のチャットスペースと
ウインドウにに表示する私からの一行コメントを打ち込む欄。

上には『「華」ちゃんのお部屋』と書かれている。

この画面が
私の仕事の基礎となる。

名前は本名の「華」のまま。

そのままでも受けがいいから
と、オーナーが設定したらしい。

早速お仕事開始のボタンをクリックすると
頭につけたマイクつきヘッドフォンから
突然大きな音で効果音が流れた。

音量の調節をし忘れていた。

画面の右上には「待機中」の文字。

客は今
私が写っている映像を見て
入室するかどうかを決める。

着実に一個一個
これからやっていく仕事の手順を覚えていく。


そして、
さっきとまた同じような効果音が流れた。

初めての客。

名前は…
文字と数字の羅列でよくわからない。

「はっ…初めまして!」

ちょっと声が上ずったが気にしない。

「華っていいます。今日初めてなんですよ♪」

『はじめまして^^きょうすけだよ』
『今日はじめてなんだね』

と、客が二行続けて打った。

「そうなんですよー
 きょうすけさんは何歳なんですか?」

…と、
他愛もない自己紹介を互いに交わす。

それが何分か続いた頃、
突然客が言う。

「ねえ、そろそろ脱いでよ。
 今日は何色の下着かな^^?」


…え?