「リクエストしていい?カレー食いたいだけど。作って来てくれる?」





塩崎先生は、車の鍵を開け、後部座席から昨日のお弁当箱を私に渡した。




「ごちそうさま。うまかったです。お前の料理に惚れた」




ほ、惚れた?


あ、料理に・・・・・・だよね?







「で、チョコは?」




「はい。あの、これ・・・・・・ 1日遅れですが、バレンタインのチョコ、受け取ってください」





目を閉じて、ただチョコを先生の前に差し出した。





「バレンタイン当日以外は、義理チョコは受け取らないんだけどなぁ、俺」




「本命なら受け取ってくれるの?」




「本命なの?川島・・・・・・」





私は目を開けて、大好きな塩崎先生の顔を見つめた。



いつもの顔とは少し違う。


教習中には見せてくれたことのない柔らかい表情。