「そんなに怖いなら、指名してもいいから。坂道発進の一発目の講習……」 特別レッスンが終わり、ソファから立ち上がった時だった。 優しい声で、照れくさそうに。 ボソっと。 「いいの?」 「仕方ないだろう。他の先生じゃ荷が重過ぎるから」 私はスキップしたい気持ちで、指導員室を出た。 入口の自動ドアは、もう修理が終わったみたいで、ちゃんと開くようになっていた。 良かった。 故障していて。 良かった。 下を向いて歩いていて。 おでこぶつけて、良かった――!