いちご模様の赤い傘

ちょうど帰宅ラッシュの時間だった。

駅へ向かう俺とは逆向きに、人の流れができていた。

スーツのサラリーマンに学生たち。

この街の景色はやっぱり変わっていない。

何年たっても。



ふと、懐かしい気配が俺を包んだ。

間違えるはずがない。

彼女だ。

駅から歩いてくる人の波の中に、足早に先を急ぐ女性がいた気がした。

俺がここにいるなんて、思ってもいない彼女は時計だけを気にしていた。

きっと向かう先はタバコ屋。



俺はいそいで振り向いたが、もうそこに彼女の姿はなかった。



変わりに、俺の頬に優しく触れたのは小さな小さな粉雪の欠片。