「あの人か…久美子ちゃん、山田さんなら昨日退院したよ」


「えっ嘘ぉ…いつの間に」


「本当だよ。だからお前は帰れ」


「せっかくこれ持って来たのに」


見舞い品のお菓子だった。



「食い物か?」


「あっそーだ。これ司馬チャンにあげるよ」


「え…」


「んじゃーね」



久美子は一方的にお菓子の箱を
司馬に渡して去って行く。



「ちょっと困るよ」



司馬は呆然と立っているが
雅也に言われる。



「とりあえず、貰っておけば。後で食おう」


「おい。二人とも、そろそろ会議が始まる時間だ」



佐藤、雅也、司馬の三人は
歩き出した。



一方で久美子は地下鉄駅へ向かいながら今日初めて会った司馬の事を考えていたのだった。



1話終わり