「あのね、久美子ちゃん」


「何?」


「あ…やっぱり何でもない」


「え〜言いかけてやめるなんて、気になるよ。ねぇ何?」



問い質すと百合は
しばらく黙っていたが
久美子だけなら話してもいいと
考え、ゆっくり話し始める。



「実は私…萩原先生の事が好きだったの」


「嘘ぉ〜全然知らなかった」


「萩原先生がまだ研修医の時からずっと…多分一目惚れかも」


「へぇ…私も司馬チャンに一目惚れだよ」


「だからこの前、好きだって気持ちを萩原先生に伝えたの」


「そしたら、マシャは何て言ったの?」


「今はその返事は出来ないって」


「どーして?何で返事が出来ないのよ。たくっマシャの奴、何考えてるの。百合さんのような美女に好きって言われたのに…全く訳分かんない男。今度会ったら、私がアイツにガツンと言っておくから百合さん、落ち込まないでね」



思わず久美子は
テーブルを叩いて立ち上がる。
そして、百合を元気づけたが…。


「ち、違うの。久美子ちゃん、そうじゃないの」


「え?」


「返事が出来ないってのは、実は萩原先生――――――――――」