「ところで主任はどうしてここへ?」


「ああ…実は彼が来たんだが」


「彼?」


「3週間前、恋人が事故で運ばれて来て、あれからずっと意識が戻らない状態の…」


「203号室の西江-ニシエ-さんのか」


「まだ高校生なのにな。彼も辛いだろうに」


「さっき来たって…」


「様子を見に行ったら彼が居て…彼女を見て泣いていたんだ。声を掛けたら逃げて行って様子が普通じゃなかったから心配になって」



一緒に話を聞いていた
久美子は言う。


「高校生じゃ私と同じくらいの年の人だね」


「………ちょっと主任…あそこ」


「え?」



雅也が二つ先のベンチを指差す。