予想通り、ビーフシチューはうまかった。 けれど、向かい合って食事をしているので、スプーンが運ばれる地点に目がいってしまう。 柔らかくて、ぷくりとした場所に……… キミに送ったリップクリームの香りが俺にも移ってしまった…… それはマグネットのように、導かれるようにして重ねた。 キミの呼吸も全て、奪い取ろうとするぐらいに…。