どうやっても、その虚無感を補うことはできない。



まだ、どの高校に行くか決まってないけど、どっちにしても私とは離れる。



一筋の希望なんて、綺麗なものは私にはない。



村井って、泰那のタイプだっけ?と聞かれそうなくらい、今まで興味がなかった類の男子。



今までで最強に惚れた。



卒業間近で好きになるなんて、遅すぎる。



幸福感を味わった期間はとても短かった。



いいもん、高校でいい人探すもん。



そう強がってみても、やっぱりあいつが頭に浮かぶ。



重症だこれ。



解散して、みんながぞろぞろと帰り始めた。



私はいじましく、村井の後をついていく。



せめて、今だけ。



別れる間際まで、後姿を目に焼き付けておきたかった。



靴箱から愛用のスニーカーを出して、眺める。



ここの靴箱、古くてなんか木の粉がかかるんだった。



パンッとそれをはらってから足にはく。



この作業もさっきのでおしまい。



おしまいが多くて泣きそうになる。



外にでると、冷たい風が頬を叩いた。



「じゃあね。」



友達と中学最後の挨拶を交わす。



彼女の目は赤く腫れていた。