「泣けよ。
我慢するよりスカッとするぞ。」


「うん。
気が向いたら泣く。」


「なんだよ、気が向いたらって。」



村井は苦笑いして目をつぶった。



「まあ、俺は泣く。
予告しとくよ。」


「そんな予告いらないよ…。」



今度は私が苦笑い。



「私とあんた、一緒に並ぶわけじゃないから慰めてやれないし。」


「別に慰めなんて期待してねーよ。」



プイッとそっぽを向かれてしまった。



「ゴメン。」



謝んな、と村井は小さい声で呟いた。



「あーぁ、時間が止まって欲しいな。」


「はぁ、何言ってんのお前。
止まるわけないじゃん。」


「わかってるよ。
馬鹿にすんな。」



睨むと村井はうわっと顔を歪めた。



「すんなって。
すんなって言った。」



私は無視して顔を背けた。



止まらないのはわかってるけど、止まって欲しいんだもん…。