卒業式が、一週間後に迫った。



私にはまだ卒業という実感がない。



というか、みんな。



いつまでもこのクラスにいられるといいのに。



みんなといたい。



時間よ止まれ。



何度願ったかもう数え切れない。



私は1日に何度もため息をついた。



「ねぇ、村井。」


「何。」



お前が俺に話しかけてくるなんて珍しいな。と言いながら、村井は身体を後ろに向けた。



「卒業の実感ある?」


「なんだよ急に。
ないけど。」


「私も。
だけど、なんか寂しいんだ。」



うーん、と唸りながら、頭を掻く。



「俺も。
でもお前、寂しいとか言いながら卒業式で泣かないタイプだろ。」


「うん。
我慢するもん。」


「なんでぇ?」


「人前で泣きたくない。」



例え、仲の良い友達の前でも。